気胸
症状
気胸では、突然の症状が現れることが多く、特に次のような症状がみられます。
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突然の鋭い胸の痛み 特に片側の胸に強い痛みを感じることが多く、急に発症するのが特徴です。
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呼吸困難 息が苦しく感じられ、また深呼吸がしづらくなることがあります。
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乾いた咳 咳が出ることがあり、痰を伴わない乾いた咳が続くことがあります。
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肩や背中の痛み 痛みが胸だけでなく、肩や背中に広がることもあります。
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皮下気腫 皮膚の下に空気がたまり、触れると「ポコポコ」とした独特の感触がある場合があります。
補足症状
さらに、症状が進行したり、気胸の程度が強い場合には、次のような症状がみられることがあります。
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- 脈拍の変化 脈が速くなる(頻脈)ことがあります。
- 蒼白 肌の色が青白く見えることがあり、酸素不足のサインとなることがあります。
- 疲労感 突然強い疲れを感じたり、体がだるくなることがあります。
気胸の種類
気胸にはいくつかの種類があり、原因や背景によって分類されます。
■ 自然気胸
特に明らかな原因がなく、突然発生することが多いタイプです。 また、若い男性や喫煙者に多くみられることが特徴です。
■ 外傷性気胸
交通事故や転倒、刺し傷など、胸部への外傷がきっかけで発生します。
■ 医原性気胸
胸部手術や気管支鏡検査など、医療処置が原因で起こる場合があります。
なお、この中で最も多いのは自然気胸です。
自然気胸は、さらに次の3つに分類されます。
■ 原発性自然気胸
特に明確な原因がなく、若くて痩せ型の男性に多いタイプです。 肺の表面にできる小さな嚢(ブラ)が破裂することが主な原因とされています。
■ 続発性自然気胸
慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核、嚢胞性線維症、間質性肺疾患など、基礎疾患が背景にある場合に発生します。 特に高齢者や持病のある方に多くみられます。
■ 月経随伴性気胸
女性の月経周期に関連して発生する、非常に稀なタイプの気胸です。 主に右側に起こることが多いとされています。
気胸の診断と治療
気胸の診断には、胸部X線検査やCTスキャンが用いられます。 これらの画像検査により、肺がどの程度しぼんでいるか、また空気がどこに溜まっているかを正確に評価します。
治療方法は、気胸の重症度や症状の強さによって異なりますが、一般的には次のような方法が選択されます。
■ 安静
小さな気胸の場合、自然に治癒することがあり、経過観察で改善するケースもあります。
■ 胸腔穿刺
胸に細い針を刺して胸腔内の空気を抜く方法です。 軽度から中等度の気胸に適用され、比較的負担の少ない治療です。
■ 胸腔ドレナージ
胸にチューブを挿入し、漏れた空気を継続的に排出する治療です。 中等度以上の気胸や、空気漏れが続く場合に行われます。
■ 手術
これらの保存的治療を行っても空気漏れが止まらない場合や、再発を防ぐ必要がある場合には、肺の破れた部分を切除・修復する手術が行われます。
緊張性気胸について(特に注意が必要)
気胸の中でも、緊張性気胸は非常に危険な状態です。 胸膜が破れた後、空気が胸腔内に一方向にしか流れず、空気が溜まり続けることで、
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肺が完全にしぼむ
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心臓や大血管が圧迫される
といった重篤な状況を引き起こします。 そのため、緊急の治療が必要となる生命に関わる病態です。