花粉症
花粉症の原因
花粉症は、植物の花粉に対して免疫系が過剰に反応することで起こるアレルギー性疾患です。主な原因植物には以下があります:
春:スギ、ヒノキ
秋:ブタクサ、ヨモギ、イネ科植物

花粉が体内に侵入すると、免疫系がそれを「異物」と認識し、IgE抗体を産生。これが肥満細胞と結合し、再度花粉が侵入するとヒスタミンなどの化学物質が放出され、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れます。

花粉症の診断
花粉症の診断には以下の検査が用いられます:
問診・視診:季節性や症状の有無を確認
血液検査(IgE抗体測定):特定の花粉に対する抗体の有無を調べる
皮膚プリックテスト:皮膚にアレルゲンを滴下し反応を見る
鼻汁好酸球検査:鼻水中の好酸球の有無を確認
鼻粘膜誘発検査:アレルゲンを鼻に投与して反応を見る
当院のアレルギーに対する血液検査
1. アレルギー体質かどうかを知りたい場合
「非特異的IgE抗体検査」:自分がアレルギー体質かどうかは、血液検査で非特異的IgE抗体の量を測ることでわかります。喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などがある方で高値になります。高値であれば、アレルギー体質である可能性が高いといえます。
2. 何に対するアレルギーがあるかを幅広く知りたい場合
「VIEW39」:アレルギー症状で悩んではいるものの、何に対するアレルギーかがわからないという場合、幅広くアレルゲンを調べる方法として、「VIEW39」という検査があります。代表的な39種類のアレルゲン(吸入系19種類+食物系20種類)に対する検査を、比較的安価に受けていただくことが可能です。
3. 原因となるアレルゲンがなんとなく思い当たる方
「RAST(Radioallergosorbent Test:放射性アレルゲン吸着試験)」という検査で、そのアレルゲンに対してアレルギーがあるかどうかをピンポイントで調べることができます。150種類以上ある項目の中から、調べたい項目を自由に選んで検査できます。
ただし、保険適用となるのは、一度の検査で13項目までです。
4. アレルギーの検査費用
「RAST」の費用(3割負担の場合):1項目ごとに330円かかります。最大13項目調べた場合の費用は4,290円です。
「VIEW39」の費用(3割負担の場合):4,300円程度となります(検査費用と別に診察料をご負担頂きます)。
アレルギー血液検査の信頼性は?
ダニ、ハウスダスト、カビ、動物などのアレルゲンでは、検査の信頼性は比較的高いといわれています。
一方で、食物系のアレルゲンに対する検査は、「補助的診断」の位置づけとなっています。
血液検査で陰性だったからたくさん食べてよいというわけでも、高い数値が出たから絶対に食べてはいけないというわけでもないのです。
アレルギー血液検査はあくまでスクリーニング検査で、アレルギーを引き起こす原因になりうるものを知ることができる検査です。
*採血後、結果が判明する前に2-3日を要しますので、結果のお知らせは後日となります。
あらかじめご了解をお願いいたします。
花粉症の治療
花粉の飛散時期にはマスクや眼鏡の着用、洗濯物の室内干し、帰宅時の衣類の花粉除去などの生活対策は重要です。
治療は以下のように分類されます:
対症療法:
抗ヒスタミン薬(内服・点鼻・点眼)
ロイコトリエン受容体拮抗薬
ステロイド点鼻薬
根治療法:
アレルゲン免疫療法(減感作療法):アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量から繰り返し体内に投与し、免疫を慣らすことで症状を根本的に改善・抑制する治療法です。薬で一時的に症状を抑える「対症療法」と異なり、長期的な寛解や治癒が期待できます。当院はアレルゲンを含む錠剤を舌下に投与する舌下免疫療法(SLIT)を実施しております。自宅で継続できるため利便性が高いです。治療期間は最低3~5年の継続が必要とされています。効果が出るまで時間がかかりますが、有効率はおよそ70〜80%と報告されています。
生物学的製剤:従来の抗ヒスタミン薬やステロイドで十分に効果が得られない「重症・最重症花粉症」に用いられる新しい治療法で、代表的なのが抗IgE抗体製剤「ゾレア®(オマリズマブ)」。鼻水・くしゃみ・鼻閉などの症状を大幅に軽減し、生活の質を改善効果が期待できます。