呼吸器内科診療
気管支喘息は、アレルギーなどをきっかけに気管支が炎症を起こし、肺への空気の出入りが悪くなる疾患です。 咳や痰、息苦しさなどの症状が、季節や時間帯によって大きく変動することが特徴です。
■ 気管支喘息の主な症状と特徴
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咳・痰・息苦しさ 気温差や環境の変化で症状が強くなることがあります。
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喘息発作 呼吸の際にヒューヒュー、ゼーゼーと音がする状態を指し、症状が強く出ているサインです。
■ 気管支喘息の治療について
気管支の炎症を抑えるためには、ステロイドの吸入薬が最も重要な治療法とされています。 喘息は「完全に治す」というより、発作を起こさないようにコントロールすることが治療の目標です。
症状が続く場合や気になる点がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
咳喘息
咳喘息は喘息の一種であり、主に「咳」が中心となって現れるタイプの喘息です。一般的な気管支喘息と比べると、息切れや喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼーといった呼吸音)が目立ちにくい一方で、しつこい咳が続くことが特徴です。
■ 咳喘息の主な特徴
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主症状が咳 一般的な喘息では息切れや喘鳴が中心ですが、咳喘息では長く続く咳が主な症状となります。
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気管支の炎症が原因 咳喘息も気管支の炎症によって起こり、アレルギー反応や環境要因が関与することがあります。
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夜間や早朝に悪化しやすい 症状は夜間や早朝に強くなり、睡眠を妨げることがあります。
■ 咳喘息の診断について
咳喘息には明確な診断基準がないため、他の病気の可能性を慎重に除外しながら総合的に判断します。 また、喘息の治療薬を試し、咳が改善するかどうかを確認する「診断的治療」が必要になる場合もあります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主に喫煙が原因となって起こる、肺の慢性的な炎症と気道の狭窄を特徴とする疾患の総称です。これにより呼吸がしづらくなり、日常生活に大きな影響が出ることがあります。
COPDには、主に次の2つの病態が含まれます。
■ 慢性気管支炎
気管支の内側に慢性的な炎症が続き、咳や痰が頻繁に出る状態です。気道が狭くなることで空気の流れが妨げられます。
■ 肺気腫
肺の小さな気嚢(肺胞)が破壊され、酸素を十分に取り込みにくくなる状態です。呼吸の効率が低下し、息苦しさが強くなります。
■ 慢性閉塞性肺疾患の主な症状
COPDでは、次のような症状がみられることがあります。
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息切れ
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慢性的な咳
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痰の増加
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疲れやすさ
COPDは進行性の疾患であり、時間とともに症状が悪化することがあります。しかし、早期に診断し、適切な治療を行うことで、症状の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を改善することが可能です。
治療には、生活習慣の改善(特に禁煙)、薬物療法、呼吸リハビリテーションなどが含まれます。
肺炎は、肺の小さな空気袋(肺胞)に炎症が起こる感染症で、細菌・ウイルス・真菌など、さまざまな微生物が原因となります。軽症から重症まで幅広く、特に高齢の方や免疫力が低下している方では注意が必要な疾患です。
■ 肺炎でみられる主な症状
肺炎が発症すると、次のような症状が現れることがあります。
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咳(痰を伴うことが多い)
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発熱(高熱になる場合もあります)
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息切れ(呼吸が浅く速くなることがあります)
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胸痛(深呼吸や咳で痛みが強くなることがあります)
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疲労感・倦怠感(体がだるく、疲れやすくなります)
■ 肺炎の治療について
一方で、肺炎は症状の程度によって治療方法が異なる疾患です。 軽症の場合は、内服薬や通院での点滴治療が可能ですが、重症の場合には入院が必要になることもあります。
非結核性抗酸菌症(NTM:Non‑Tuberculous Mycobacteria)は、結核菌以外の抗酸菌によって起こる感染症です。肺だけでなく、皮膚や関節などさまざまな部位に影響を与えることがありますが、特に肺に症状が現れるケースが多いとされています。
肺に感染した場合、次のような症状がみられることがあります。
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慢性的な咳
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喀痰(たん)
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呼吸困難(息苦しさ)
一方で、非結核性抗酸菌症は健康な方でも感染する可能性がある疾患です。しかし、免疫力が低下している方や、既に呼吸器疾患をお持ちの方では、感染リスクが高くなることが知られています。
症状が続く場合や気になる点がある場合は、早めに医療機関へご相談いただくことが大切です。
当院は、非結核性抗酸菌症が疑われる患者様につきましては、積極的に検査を実施しており、必要あれば連携病院に紹介し、画像や気管支鏡検査などの精密検査を実施しております。その後、当院にて継続的な治療とフォローアップを行ってまいります。
さらに、春日部市立医療センター呼吸器外科と緊密に連携しており、手術治療が必要の患者を積極的に紹介させていただきます。
気胸とは、肺の一部が破れて空気が胸腔(胸膜腔)に漏れ出し、肺が部分的または完全にしぼんでしまう状態を指します。突然発症することが多く、早期の気づきがとても重要です。
■ 気胸でよくみられる症状
気胸が起こると、次のような症状が現れることがあります。
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突然の胸の痛み 片側の胸に鋭い痛みが走ることがあります。
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呼吸困難(息苦しさ) 深呼吸がしづらくなり、呼吸が浅くなることがあります。
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乾いた咳 痰を伴わない咳が続く場合があります。
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肩や背中の痛み 胸の痛みが肩や背中に広がることもあります。
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皮下気腫 皮膚の下に空気がたまり、触れるとポコポコとした感触が生じることがあります。
■ 気胸の早期診断が大切です
気胸は、早期の診断と適切な対応がとても重要な疾患です。 症状を放置すると悪化する可能性があるため、気になる症状がある場合は、できるだけ早めに医療機関へご相談ください。
当院では、気胸が疑われる患者さまに対して積極的に検査を実施し、診断後は必要な処置と継続的なフォローアップを行っております。
また、春日部市立医療センター呼吸器外科などの病院と緊密に連携しており、手術治療が必要な患者さまには速やかにご紹介いたします。手術後も、当院にて継続的な治療と経過観察を行い、安心して治療を受ける体制を整えております。
間質性肺炎は、肺の「間質」と呼ばれる支持組織に炎症や線維化が生じることで進行する疾患です。これにより肺の柔軟性が失われ、酸素を取り込みにくくなるという特徴があります。さらに、症状はゆっくり進行することが多く、初期は風邪や加齢と誤認されやすい点も重要です。
■ 間質性肺炎の代表的な症状
まず、間質性肺炎では次のような症状がみられます。
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乾性咳嗽(空咳) 痰を伴わない咳が持続し、特に夜間や会話時に悪化することがあります。
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労作時の呼吸困難(息切れ) 階段や坂道で息切れしやすくなり、さらに進行すると軽い運動でも呼吸が苦しくなります。
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疲労感・体力低下 酸素の取り込みが低下するため、全身の倦怠感や活動量の低下が目立ちます。
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体重減少・食欲不振 慢性的な炎症や呼吸困難が続くことで、生活の質が低下し、食欲にも影響します。
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ばち指(ばち状指) 指先が丸く膨らむ変形で、慢性的な低酸素状態を示す所見です。
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胸部の違和感や圧迫感 線維化が進むと、胸の重苦しさを感じることがあります。
■ 間質性肺炎が進行した場合の症状
病状が進行すると次のような症状が現れます。
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安静時の呼吸困難 座っているだけでも息苦しさを感じるようになります。
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低酸素血症によるチアノーゼ 唇や指先が紫色になることがあり、酸素飽和度の低下を示します。
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急性増悪 風邪などをきっかけに呼吸状態が急激に悪化することがあり、命に関わる場合もあります。
当院は、春日部市立医療センターの間質性肺炎外来と緊密に連携しており、毎月に開催される多職種による総合診断(MDD)検討会に参加しております。
間質性肺炎が疑われる患者様につきましては、まずMDD検討目的で専門の間質性肺炎外来へご紹介のうえ、精密検査を実施していただきます。その後、当院にて継続的なフォローアップを行ってまいります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し停止(無呼吸)したり、弱くなる(低呼吸)ことで、十分な酸素が取り込めなくなる疾患です。 とくに、無呼吸が10秒以上続き、さらに1時間に5回以上起こる場合は診断の対象となります。
その結果、睡眠の質が低下し、日中の強い眠気や注意力の低下を引き起こします。また、心血管系への負担が大きく、健康リスクとしても問題視されています。
■ 睡眠時無呼吸症候群の合併症リスク
治療を受けずに放置すると、次のような合併症のリスクが高まります。
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高血圧・心不全・不整脈
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心筋梗塞・脳卒中
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2型糖尿病
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認知機能の低下
■ 睡眠時無呼吸症候群治療の重要性
一方で、適切な治療を行うことで睡眠の質が改善し、日中の活動性が向上します。さらに、これらの合併症を予防する効果も期待できます。
