春日部市上蛭田|豊春駅近く|呼吸器科・内科・外科|土日診療あり

気管支喘息

喘息の原因

喘息の原因はまだ完全には解明されていません。しかし、現在までの研究から、いくつかの要因が発症や悪化に関与していることが分かっています。特に、以下のような要素が影響すると考えられています。

■ アレルギー

花粉、ダニ、カビ、ペットの毛などのアレルゲンが気道を刺激し、喘息の症状を引き起こすことがあります

■ 環境要因

大気汚染やタバコの煙、化学物質などは気道に負担をかけ、症状を悪化させる要因となります。 特にタバコの煙は大きなリスクとされています。

■ 遺伝的要因

家族に喘息やアレルギー疾患を持つ方がいる場合、喘息を発症するリスクが高まることが知られています。

■ 感染症

風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症は、喘息発作のきっかけになることがあります。 季節の変わり目に症状が悪化しやすいのもこのためです。

■ 運動

特に寒い環境での運動は、気道が急に冷えることで喘息を誘発することがあります

喘息の症状

喘息の症状は個人によって異なりますが、一般的には次のような症状がみられます。

■ 主な症状

  • 喘鳴(ぜんめい)  呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音が聞こえることがあります。

  •  特に夜間や早朝に悪化しやすく、喉に痰が引っかかるような感覚を伴うことがあります。

  • 息切れ・息苦しさ  軽い運動でも息切れを感じることがあり、呼吸がしづらくなります。

  • 胸の圧迫感  胸が締め付けられるような不快感が続くことがあります。

  • 疲労感  慢性的な呼吸困難により、日常生活で疲れやすくなることがあります。

■ 症状が出やすい状況

喘息は、以下のような環境や条件で発症しやすく、症状が強くなる傾向があります。

  • 夜間や早朝に咳などの症状が悪化しやすい

  • 季節の変わり目や気温差が大きいとき

  • 冷たい空気を吸い込んだとき

  • 疲労時や風邪を引いた後

  • 運動後(特に走った後など)

  • タバコの煙や強い匂いに反応したとき

これらの要因は気道を刺激し、症状を誘発または悪化させることがあります。

喘息の診断と検査

喘息の診断では、症状の原因を正確に把握するために、複数の検査を組み合わせて総合的に評価します。以下は、一般的に行われる主な検査内容です。

■ 病歴の聴取

まず、医師が患者さんの症状や発作の頻度、家族歴、アレルギーの有無、生活環境などを詳しく伺います。 これにより、喘息の可能性や症状の背景を評価します。

■ 身体検査

次に、聴診器を使って肺の音を確認します。特に、呼吸時に聞こえる「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘鳴や、その他の異常音がないかをチェックします。

スパイロメトリー(呼吸機能検査)

吸ったり吐いたりする空気の量や速度を測定し、気道の狭窄や肺機能の低下を確認する検査です。喘息の診断において非常に重要な検査のひとつです。

呼気一酸化窒素(FeNO)検査

呼気中の一酸化窒素の量を測定し、気道の炎症の程度を評価します。特にアレルギー性喘息の診断に役立ちます。

血液検査

炎症マーカーやIgE(免疫グロブリンE)の値を測定し、アレルギーの有無や炎症の状態を確認します。 また、特定のアレルゲンに対する反応を調べることで、アレルギー性喘息の診断に役立ちます

胸部レントゲン検査・CT検査

肺の状態を画像で確認し、喘息以外の病気が隠れていないかを評価します。 一方で、喘息そのものを直接診断する検査ではありませんが、鑑別診断として重要です。

CT検査が必要な場合には、近隣の連携病院へご紹介いたします。

喘息の治療

喘息は完全に治すことが難しい疾患ですが、適切な管理と治療によって症状を良好にコントロールすることが可能です。 治療は大きく「薬物療法」「トリガー(誘因)の管理」「定期的な診察」「生活習慣の改善」に分けられます。


1.薬物療法

喘息治療の中心となるのが薬物療法です。症状の程度や発作の頻度に応じて、以下の薬剤を組み合わせて使用します。

● 吸入ステロイド薬

気道の炎症を抑えるための基本となる治療薬で、長期的に使用されることが多い薬です。

● 気管支拡張薬

急な喘息発作を緩和するために使用されます。 短時間作用型(SABA)と長時間作用型(LABA)があり、症状に応じて使い分けます。

● 抗コリン薬

気管支を広げる作用があり、痰がらみや咳が強い患者さんにも有効です。 最近では、吸入ステロイド薬・長時間作用型β刺激薬・抗コリン薬の3成分配合剤も登場し、吸入の負担が軽減されています。

● ロイコトリエン拮抗薬

アレルギー性喘息に使用される飲み薬で、気管支の炎症や収縮に関わるロイコトリエンの作用を抑えます。

● テオフィリン

気管支拡張作用のある飲み薬です。ただし、副作用が出やすいため、少量を補助的に使用することが一般的です。

● ステロイドホルモン(内服・点滴)

強力な抗炎症作用があり、発作時に症状を抑える目的で使用されます。 長期使用は副作用のリスクがあるため、症状を見ながら早めに中止します。

● バイオ製剤(抗体薬)

他の薬を十分に使用しても症状が改善しない重症喘息の患者さんが対象となる注射薬です。 抗IgE抗体、抗IL-5抗体、抗IL-5受容体抗体、抗IL-4/13受容体抗体、抗TSLP抗体などが保険適応となっています。 効果が高い一方で高価な薬剤のため、使用にあたっては医師と十分に相談する必要があります。


2.トリガー(誘因)の管理

喘息の悪化を防ぐためには、日常生活での環境管理も重要です。

  • アレルゲンの回避:ダニ、ペットの毛、花粉などをできるだけ避ける

  • 環境整備:室内の湿度管理、カビ・ほこり対策を徹底する


3.定期的な診察

喘息は症状が変動しやすいため、定期的なフォローが欠かせません。

  • 治療計画の見直し:症状に合わせて薬の調整を行います

  • 呼吸機能のチェック:ピークフローメーターやスパイロメトリーで状態を確認します


4.生活習慣の改善

日常生活の工夫も、喘息のコントロールに大きく役立ちます。

  • 適度な運動:肺機能の維持・向上に効果的

  • 禁煙:喫煙は喘息を悪化させるため、禁煙が強く推奨されます